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少年と若きコメットハンター [一期一会]

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少年は相変わらず、晴れた日の夜には星たちとの会話を楽しんでいた。でもちょっぴり悩んでいた。同じ話題で語り合える友達が一人もいなかったことだ。それと情報が殆ど無かったこと。少年の学校の図書館には天体観測に関する本等一冊も無かった。極めつけは観測に一番大事な星図をもっていなかったことだ。そんなある日のこと少年の母親が言った。゛お母さんの勤めている会社に彗星を発見して話題になっている人がいるのよ”  ゛えっ!そんなすごい人がいるの?” その若きアマチュア天文家の名は佐藤安男さん。゛お母さん その人に一度会ってみたいな~” 何度も頼み込んで遂に少年の願いは叶うことになった。数週間後の日曜日に会えることになったのだ。約束の当日、胸の高鳴りを抑えながら、佐藤さんが住んでいるというアパートに自転車を飛ばした。佐藤さんのアパートは少年の自宅から自転車で15分位の、南側がよくひらけた田んぼ脇にあった。尋ねると安男さんと奥さん、そして最近生まれたという赤ちゃんが少年を快く迎い入れてくれた。佐藤さんは彗星を発見した時の話を、撮影した写真や星図を見せながら聞かせてくれた。ほんとに夢のような楽しいひと時だった。その後も何度か彼のアパートに遊びに行ったのだが、ある日のこと、帰り際に彼が撮影した数枚の彗星の写真と ゛もう使わないから” と言って愛用していた全天恒星図をくれた。その星図には所々にボールペンで書き込みがしてあり、彼の今までの彗星発見に至る軌跡が刻まれていた。その日からそれは少年の道標になり宝物になった。
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